愛と欲望と喜びの関係性について
善いもの(魅力的なもの)に関わる感情を時間軸でとらえてみるとどうなるでしょうか。

中世の哲学者トマス・アクィナスの考えによると、まず何かを好きになる、好感を抱くと、「愛」の感情が生まれます。
次にその好きになったものに対して欲しいと願う「欲望」という感情が生まれてきますね。
ですから、欲望はまだ手に入れていない“未来”のことになります。
そしてそれを獲得できたら、「喜び」という感情が生まれてくるわけですね。
そのため「喜び」は“現在”という時間軸になります。
魅力的なもの、好感を抱いたものに対して向かっていくという心の動きが欲望となって現れます。
そして、手に入れることができた時に心の動きが静止して、喜びという感情が生まれてくるということなんですね。
まず初めに自分が何に惹かれるのか、何が好きなのかということが出発点になります。
それを自覚することが、欲しい、手にしたいという欲望を明確にすることにつながります。
そして手にするために方策を考えて実行することで、実際に獲得することができれば喜びを味わえるということになりますので、私は何に惹かれるのかな?ということを知ることがとても重要だと思います。
参考書籍:『世界は善に満ちている トマス・アクィナス哲学講義』山本芳久著 新潮選書